映画「羅生門」を見た!~1950年黒澤明監督作品・平安時代を舞台にした日本映画の名作

毎度お世話になっております。リストクラッチ式ショーイチであります。
前回から日本映画の名作について語ってきましたが、今回はその第二弾として昭和25年(1950)に公開され、ヴェネツィア国際映画祭にて最高の栄誉とされる金獅子賞をはじめとして数々の賞を獲得した黒澤明監督の代表作である羅生門をご紹介します。
この羅生門というのは、題名からも見て取れるように芥川龍之介の代表作の羅生門から取ったわけですが、これは題名だけで映画の内容は同じ芥川龍之介作の短編小説、藪の中が原作になっております。
 具体的な映画の内容はと言いますと、
物語の舞台になるのは、平安時代の京にあった羅城門をもじった羅生門で雨宿りをしている2人の男。1人は志村喬さん演じる杣売り(そまうり。焚き木の販売業)の男。

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もう1人は千秋実さん演じる旅の僧侶が検非違使(平安時代に京の治安を取り締まっていた部署)にてひょんな事から出くわした、とある武士の殺人事件に関してそれぞれが持つ疑問をぶつけ合っていたところに上田吉二郎さん演じる下人が雨宿りのためにやってきて、件の殺人事件に興味を示したところから物語は始まります。
殺人事件の内容は簡単に言いますと、森雅之さん(明治、大正期の作家である有島武郎の息子)が演じる武士、金沢武弘が妻である京マチ子さん演じる、真砂を馬に乗せて山の中を歩いているところを、世界のミフネこと、三船敏郎さんが演じる京にて大暴れをし、名を馳せていた盗賊の多襄丸(たじょうまる)が因縁をつけて、奥さんの真砂に乱暴を働いた上、金沢を斬殺したというのであります。
多襄丸は馬を奪い、現場から逃走し、真砂もいつの間にかいなくなり、多襄丸は、河原でもがき苦しんでいたところを加東大介さん演じる放免(検非違使台の役人)に捕まり、検非違使に引っ立てられ、事件現場近くにいた杣売りと旅の僧侶が殺人事件について証言をするのが物語のメインになっているのです。けれども妻の真砂や多襄丸、本間文子さん演じる巫女が死んだはずの金沢に霊媒師紛いのようなことをやり、金沢に殺人事件について証言させるたびに内容が混沌とし、真実はいつも一つであるのに証言者の視点によって食い違いが発生していきます。
この事から一つの物事に対して視点の違う者たちが証言すると事実とはかけ離れたことを言い出し、収拾がつかなくなることを羅生門効果と言うようになりました。
基本的にこの映画にのめり込みすぎると人間不信になると思うのは、私だけでしょうか。
現実だけでなくて、映画の世界だけでもヒューマニズムとエゴイズムを体感させられる映画であります。
画面も時代的にフルカラーではなく、モノクロなので羅生門の持つ独特の不気味さ、人間の醜悪さ、この世の冷たさ、ラストシーンの見事さ、この映画の上映時間である90分をたった8人のキャストで繋ぐ出演者達の上手さが際立ちます。
このような作品をポンポン作り出せるのが黒澤明監督であり、三船敏郎さんと志村喬さんであります。
このお三方は、その後も七人の侍や隠し砦の三悪人を創っていく訳ですが、それはまた別の機会に致しましょう。
モノクロ映画と人間ドラマに興味のある方は是非、ご覧になって下さい。
今回も最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。

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お相手はリストクラッチ式ショーイチでした。
それでは、次回もお楽しみに。

(寄稿)リストクラッチ式ショーイチ

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