日本暗殺秘録を見た!

 どうも、こんにちは。リストクラッチ式ショーイチです。
最近は仕事終わりに昔の映画を1本、鑑賞して眠る。という毎日を送っています。
今回は、今(2022年(令和4年))から53年前の昭和49年(1969年)に公開された中島貞夫監督作、日本暗殺秘録(ニホンアンサツヒロク)という映画についてご紹介いたします。
この映画は幕末から戦前にかけて起きた暗殺事件をオムニバス方式で描いたものです。
こちらの映画で紹介されているのは、
・万延元年(1860)に発生した江戸幕府大老、井伊直弼暗殺。所謂、桜田門外の変。
・明治11年(1878)に発生した石川県士族、島田一郎らにより、馬車で出勤途中のときの内務卿である大久保利通暗殺。
所謂、紀尾井坂の変。
・明治22年(1889)にときの外務大臣、大隈重信がテロリストの来島恒喜が爆弾テロを行い、右足を失うことになった事件。
(大隈重信は、髭は居丈高に見えるから。と言う理由で嫌っていたのに、映画では髭を蓄えている。)
・明治34年(1901)に東京市議会議長であった星亨が心形刀流10代宗家の伊庭想太郎(五稜郭の戦いで戦死した隻腕の剣客、伊庭八郎の弟。)に東京参事会議事室において斬殺された星亨暗殺事件。
・大正10年(1921)に安田財閥創始者の安田善次郎が大磯の別荘にて神州義団主宰、朝日兵吾に暗殺された安田善次郎暗殺事件。
・大正12年(1923)から大正13年(1924)にかけて発生したギロチン社事件。
(ギロチン社事件は、銀行員を刺殺した一個の事件を言うのではなく、他にも色々発生しています。)
・昭和7年(1932)に発生した井上日召に感化された小沼正による当時の前大蔵大臣の井上準之助暗殺事件。所謂、血盟団事件。
(これがこの映画のメインであり、なぜかもう一つの三井合名理事長の団琢磨殺害事件は描かれてないのです。)
・昭和10年(1935)に発生した、陸軍統制派の領袖の当時の陸軍省軍務局長である永田鉄山が皇道派将校である相沢三郎中佐により斬殺された相沢事件。
・昭和11年(1936)に発生した2.26事件。
これらが一気に見られるわけです。
実は、公開当時は井上準之助を暗殺した小沼正は存命中であり、自身を演じた千葉真一さんに対して
「千葉さん、良かったです。あの時は本当にあの通りの気持ちでした。」
と賞賛するなど演じた千葉さんにとっては感慨深いのは認めます。
が、どうせなら甘粕事件や虎ノ門事件や話せば分かる、問答無用で有名な5.15事件なども入れて欲しかった。
よくよく考えるとこれらをもしも中島貞夫監督ではなく、羅生門や七人の侍で有名な巨匠、黒澤明監督がメガホンを取ったとするならば、もっと時代考証は厳しいものになるだろうし、撮影費用もべらぼうに高いものになったのだろうと思いました。
なぜなら黒澤明監督は映画撮影のためなら物語の題材となった時代のセットを忠実に再現して作るだろうし、電柱も抜きにかかったり、新幹線も止めるほどの監督ですから。
列挙して描くのではなく、一つ一つドラマがあるので一つの事件にちゃんと90分くらい割り当てて書いて欲しかった。というのが拙い私の心情であります。
ですが、明治期から昭和期にかけて起きたこれらの事件に興味を持ち、深く掘り下げて行くと歴史のターニングポイントになったのが浮かび上がると思います。
いや、歴史上の出来事、一つ一つが現在の我々に繫がっていると私は解釈しているので、1度読者の方々もご覧になってはいかがでしょうか。
最後までお付き合い下さり、ありがとうございました。
それでは、次回もお楽しみに。


(寄稿)リストクラッチ式ショーイチ 日本の死刑の歴史「絞首刑とは」 共通カウンター